NISA iDeCo 組み合わせ 税メリット計算 最大化の仕組み
NISAとiDeCo、組み合わせでどう変わる？税メリット計算の仕組み
資産形成を検討される上で、NISAやiDeCoという制度の名前を耳にされたことがある方は多いかと存じます。これらの制度は、税制上の優遇措置が設けられており、効率的な資産形成を後押しする役割を担っています。単独での活用はもちろん有効ですが、両制度を組み合わせることで、さらに大きな税制メリットを享受できる可能性があります。
この記事では、NISAとiDeCoを併用した場合に発生する税制メリットの仕組みと、具体的なメリット額がどのように計算されるのか、その考え方について解説いたします。ご自身の状況でどれくらいの税メリットがあるのかを知りたい、という疑問にお答えするための一助となれば幸いです。
NISAの税メリット：運用益が非課税となる仕組み
まず、NISA（少額投資非課税制度）の税メリットについて振り返ります。NISA制度は、投資によって得られた運用益（売却益や配当金など）に対して、通常かかる約20%の税金（所得税および復興特別所得税、住民税の合計）が非課税となる点が最大の特長です。これは租税特別措置法により定められています。
例えば、ある年にNISA口座内で投資信託を運用し、10万円の運用益が発生したと仮定します。通常であれば、この10万円に対して約2万円（10万円 × 20.315%）の税金が課税されます。しかし、NISA口座内の運用であれば、この税金はゼロとなります。つまり、この例では約2万円分の税メリットが得られたことになります。
新しいNISA制度では、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」があり、それぞれ年間および生涯の非課税投資枠が設定されています。この非課税枠内で運用益が発生すれば、その全額が非課税の対象となります。非課税となる運用益の金額は、投資額、運用期間、そして運用成績によって変動します。
iDeCoの税メリット：毎年の掛金が所得控除となる仕組み
次に、iDeCo（個人型確定拠出年金）の税メリットです。iDeCoは、NISAの運用益非課税に加えて、大きな税メリットとして「掛金の全額所得控除」があります。これは所得税法により認められている控除です。
iDeCoに払い込んだ掛金は、その年の課税所得から全額控除されます。課税所得が減ることで、それに課される所得税と住民税の負担が軽減されます。具体的には、iDeCoの所得控除による税メリット額は、iDeCoの年間掛金合計額 × (ご自身の所得税率 + 住民税率) で計算されることになります。住民税率は原則として一律10%ですが、所得税率は課税所得の金額によって5%から45%までの範囲で変動します。
例えば、年間24万円（月2万円）をiDeCoに拠出し、ご自身の所得税率が10%、住民税率が10%と仮定します。この場合、所得税の軽減額は24万円 × 10% = 2.4万円、住民税の軽減額は24万円 × 10% = 2.4万円となり、合計で年間4.8万円の税メリットが得られることになります。この税メリットは、年末調整や確定申告を通じて実現します。
また、iDeCoで運用して得られた運用益もNISAと同様に非課税であり、受け取り時にも一定の控除（退職所得控除または公的年金等控除）がある点も税メリットとなりますが、毎年の手取りに直結する所得控除がiDeCoの最大の特徴と言えます。
NISAとiDeCoを組み合わせた場合の税メリット計算の考え方
NISAとiDeCoを組み合わせて利用することで、これらの税メリットを同時に享受することができます。これが、併用による税メリット最大化の基本的な考え方です。
- iDeCoによる所得税・住民税の軽減: 毎年、iDeCoの掛金に応じた所得税と住民税の軽減効果が得られます（年間掛金 × ご自身の所得税率+住民税率）。これは課税所得を減らす直接的なメリットです。
- NISAおよびiDeCoによる運用益の非課税: NISA口座内、そしてiDeCo口座内の運用で得られた運用益に対して、通常かかる約20%の税金が非課税となります。運用益の金額は運用成績に依存するため、将来の具体的な非課税メリット額を確定的に計算することはできませんが、運用が成功した場合の税負担軽減効果は非常に大きいと言えます。
併用した場合の「具体的な税メリット額」を計算する際には、上記の1と2の効果を合算して考えることになります。
- 年間・毎年の手取りへの影響: これは主にiDeCoの所得控除による部分が大きいと言えます。iDeCo掛金に応じて、毎月源泉徴収される所得税が減ったり、年末調整や確定申告で税金が還付・軽減されたりすることで、手取りや実質的な可処分所得が増加します。
- 長期的な資産形成への影響: 運用益非課税の効果は、運用期間が長くなるほど、運用益が複利で増えていく効果（雪だるま式に資産が増える効果）に税金がかからないため、非常に大きくなります。また、iDeCoの所得控除で生まれた「余裕資金」をNISAに回すなど、両制度を連携させることで、より多くの資金を非課税で運用に充てることが可能になり、資産形成のスピードを加速させることができます。
ご自身の具体的な税メリット額を計算するためには、ご自身の年収から課税所得を算出し、適用される所得税率を確認する必要があります。また、ご家族構成や他の所得控除（生命保険料控除、医療費控除など）の状況によっても課税所得は変動するため、これらの情報を正確に把握することが重要です。
診断ツールであなたの税メリット額を計算する
ご自身の条件に基づいてNISAとiDeCoの具体的な税メリット額を知りたい、というご要望には、「いくらお得？NISA iDeCo 税メリット診断」のようなツールが有用です。
このようなツールでは、お持ちの年収や家族構成、そしてiDeCoの掛金設定といった情報を入力することで、iDeCoによる年間の所得控除額と、それによる所得税・住民税の具体的な軽減額（すなわち、毎年の手取り増加または税還付額）を計算することができます。さらに、将来の運用益を一定率で仮定した際の非課税効果もシミュレーションすることで、トータルの税メリット額を算出します。
ご自身の状況に合わせた診断結果を確認することで、NISAとiDeCoをどのように活用すれば、税制上の恩恵を最大限に享受しながら効率的に資産形成を進められるのか、具体的なイメージを持つことができるでしょう。
資産運用には価格変動リスクや元本割れリスクが伴います。税制についても将来的に変更される可能性がございます。制度の内容やリスクをご理解いただいた上で、ご自身の判断と責任において活用をご検討ください。
まとめ
NISAの運用益非課税と、iDeCoの所得控除は、それぞれ強力な税制上の優遇措置です。これらを組み合わせることで、毎年の税負担軽減と、長期的な運用益への非課税効果という両面から、より効果的に資産形成を進めることが期待できます。
ご自身の年収や掛金、そして他の税控除の状況によって、具体的な税メリット額は異なります。ぜひ診断ツールなどを活用し、ご自身の条件でどれくらいの税メリットがあるのかを具体的に計算・確認してみてください。それが、賢い資産形成の一歩となるはずです。