NISA iDeCo 税メリット 税金は「いつ」「どう減る」? 還付・軽減・非課税の仕組み 計算詳解
NISA・iDeCoの税メリット、税金は「いつ」「どう減る」のか? 具体的な計算と仕組み
NISAやつみたてNISA、iDeCoといった制度が、資産形成において税制上の優遇を受けられることは広く知られています。しかし、「具体的にいつ、どのような形で税金が軽減され、自分の手元にいくら残るのか」という点については、漠然としたイメージしかないという方も少なくないかもしれません。
NISA・iDeCoの税メリットは、単に税金が安くなるというだけでなく、ご自身の年収や掛金、運用状況によってその具体的な金額が変動します。このメリットが「いつ」、そして「どのような形式で」(所得税・住民税の軽減・還付、または運用益の非課税として)現れるのかを理解することは、これらの制度を賢く活用する上で非常に重要です。
この記事では、NISA・iDeCoの主な税メリットが、制度のどの段階で発生し、具体的に税金がどのように軽減されるのか、その仕組みと考え方について詳しく解説します。
NISA・iDeCoの主な税メリットと発生タイミング
NISA・iDeCoには、大きく分けて以下の3つの税メリットがあります。それぞれのメリットが発生するタイミングと、税金が軽減される形式が異なります。
-
掛金拠出時の所得控除(iDeCoのみ)
- いつ? 掛金を拠出した年の所得に対して適用されます。
- どう減る? 所得税と住民税の負担が軽減される形で、具体的には税金の「還付」または翌年以降の税額の「軽減」として現れます。
- 仕組み: iDeCoの掛金は、全額が「小規模企業共済等掛金控除」として、その年の総所得金額等から控除されます。これにより、税金がかかる対象となる課税所得が減少し、結果として所得税と住民税が軽減されます。所得税は年末調整や確定申告によって還付されることが多く、住民税は翌年の税額が減額されます。
-
運用期間中の運用益非課税(NISA・iDeCo共通)
- いつ? 投資した商品から発生する利子、配当、分配金を受け取る際や、値上がりした商品を売却して利益(譲渡益)を得る際に適用されます。
- どう減る? 通常これらの運用益には20.315%(所得税および復興特別所得税15.315%、住民税5%)の税金がかかりますが、これが「ゼロ」になる形で現れます。
- 仕組み: NISAやiDeCoの専用口座(非課税口座)内で発生した運用益に対しては、所得税法および租税特別措置法に基づき、非課税とされています。これにより、運用によって得た利益を税金で減らすことなく、そのまま再投資に回したり、将来の受け取りに繋げたりすることが可能です。特に長期運用では、この非課税メリットが複利効果を後押しし、資産形成を加速させる大きな要因となります。
-
受取時の税制優遇(iDeCoの一部)
- いつ? iDeCoで積み立てた資産を、一時金や年金として受け取る際に適用されます。
- どう減る? 受け取り方に応じた所得控除(退職所得控除や公的年金等控除)が適用され、通常かかる税金が軽減される形で現れます。
- 仕組み: iDeCoの一時金受け取りは、他の退職金と合算して「退職所得」として計算され、退職所得控除の適用により税負担が大幅に軽減される場合があります。年金受け取りは、他の公的年金等と合算して「雑所得」として計算され、公的年金等控除の適用を受けることができます。NISAの受取時(売却時)は、非課税期間内であれば運用益に税金はかかりません。
具体的な税メリット額の計算方法と考え方
それぞれの税メリットが具体的にいくらになるかは、ご自身の状況によって異なります。
iDeCoの所得控除による税メリット額
これは「掛金拠出額 × ご自身の所得税率・住民税率」で計算できます。
- 計算式:
iDeCo年間掛金合計額 × (所得税率 + 住民税率)
- 所得税率・住民税率の決定要因: ご自身の年間総所得から、扶養控除や社会保険料控除などの各種所得控除を差し引いた「課税所得」の金額によって、適用される所得税率が決まります(所得税は累進課税)。住民税率は一般的に10%です。
- 計算例:
- 課税所得が300万円の場合、所得税率は10%、住民税率は10%です。合計税率は20%。
- 年間掛金が24万円(月2万円)の場合、税メリット額は
24万円 × 20% = 4万8000円
となります。 - 課税所得が600万円の場合、所得税率は20%、住民税率は10%です。合計税率は30%。
- 年間掛金が24万円の場合、税メリット額は
24万円 × 30% = 7万2000円
となります。
このように、同じ掛金でも、年収や他の控除によって課税所得が異なると、適用される税率が変わり、税メリット額も変動します。年末調整や確定申告の際に、所得税の還付金として手元に戻ってきたり、翌年の住民税が安くなったりすることで、このメリットを実感できます。
NISA・iDeCoの運用益非課税による税メリット額
これは「発生した運用益 × 通常かかる税率(20.315%)」で計算できます。
- 計算式:
発生した運用益合計額 × 20.315%
- 運用益の決定要因: 投資対象の値動きや受け取った配当・分配金によって変動します。運用成果が大きければ大きいほど、非課税メリット額も大きくなります。
- 計算例:
- NISA口座で運用した結果、売却時に10万円の利益が出た場合、通常かかる税金は
10万円 × 20.315% = 2万315円
ですが、これが非課税となり、2万315円の税金が節約できます。 - 10年間で合計100万円の運用益が得られたと仮定すると、通常なら
100万円 × 20.315% = 20万3150円
の税金がかかるところ、これがゼロとなり、20万3150円の税金が節約できる計算になります。
- NISA口座で運用した結果、売却時に10万円の利益が出た場合、通常かかる税金は
このメリットは、運用益が発生するタイミング(利子・配当の受取時や売却時)で享受できます。特に長期にわたって運用益が積み重なると、非課税による税金節約効果は非常に大きくなります。
ご自身の条件で「いくらお得か」を計算することの重要性
ご紹介したように、NISA・iDeCoの税メリット額は、所得控除によるものと運用益非課税によるものがあり、それぞれ計算方法と影響額が異なります。そして、これらの金額は、ご自身の年収、他の所得控除、掛金設定、そして将来の運用成果によって大きく変動します。
一般的な解説や計算例だけでは、ご自身の具体的な状況で「いくら」税金が節約できるのか、資産形成がどれだけ加速するのかを正確に把握することは難しいものです。具体的な金額を知ることで、NISAやiDeCoを始めるモチベーションが高まったり、適切な掛金や投資額を検討する際の判断材料になったりします。
ご自身の条件に基づいた具体的な税メリット額を知りたいとお考えでしたら、当サイトの「いくらお得?NISA iDeCo 税メリット診断」ツールをご活用いただくことをお勧めいたします。年収や掛金といった情報を入力することで、所得税・住民税の軽減額や、想定される運用益に対する非課税額などを試算し、具体的な税メリット額を確認することができます。
賢く資産形成を進めるためにも、まずはご自身の状況における具体的な税メリット額を把握することから始めてみてはいかがでしょうか。